ICE8000国際誠信基準体系

道徳良心鑑定・勧善基準

本ページは基準を構造化し要約した日本語版です。世界信用機構が公表する中国語原文が正本です。

版番号: ICE8000-111-20110201-20150129-10 著者・提案者: 方邦鑑 審議機関: 世界信用機構誠信基準委員会 効力等級: 行政決議

第1章 総則

1.1 人類の道徳良心の最低線を明確にし維持し、社会の誠実性を促進し、取引コストを下げ、人類の福祉を増進するため、国際的に通用する法原則と国際慣行に基づき、世界信用機構(WCO)は本基準を制定する。

1.2 法的根拠

  1. 憲法の自由の原則:世界の大多数の国の憲法は、自らの正当な権利を守る自由、社会正義を守る自由、言論の自由を人々に保障している。
  2. 公序良俗の原則:この原則は人々に社会正義を守る権利を与え、大多数の国の民法の基本原則に含まれている。
  3. 誠実信義の原則:この原則は人々に誠実の義務を課し、大多数の国が民法・商法の基本原則としている。
  4. 契約自由の原則:この原則は人々に民事契約を結ぶ自由を与えている。

1.3 本基準の適用および執行のためになされた行為は、WCOが鑑証者または監督者として米国コロンビア特別区で締結に参加した三者または多者間の契約行為とみなされる。当該行為およびそれに起因する紛争には米国コロンビア特別区法および米国連邦法が適用され、その保護を受ける。管轄権は国際道徳裁判所または米国コロンビア特別区裁判所および米国連邦裁判所に属する。

1.5 道徳良心の鑑定は、客観・公正・合理の原則に従う。

1.6 本基準にいう道徳良心とは、人類が活動の中で形成した善良な行動規範であり、社会に存在し、また人の心の中に存在する。道徳良心には二つの層がある。第一層は道徳良心の最低線であり、すべての人、組織、地域が守るべき最低基準で、これを拒む者は懲戒されるべきである。第二層は道徳良心の高尚な内容であり、最低線を超える、真・善・美など人類の普遍的価値へのあらゆる追求を含む。契約がない限り、他者に高尚な内容の追求を強制することはできず、自発的に追求し実践する者には報奨を与えるべきである。

1.7 道徳的リスクを防ぐため、鑑定申請者は信用身分証または有効な身分証明を提示し、誠信ファイルを作成しなければならない。

1.8 本基準に基づく鑑定意見は、提出された証拠資料が真実かつ正確であるという仮定の下での原則的鑑定意見にすぎない。ある行為が道徳良心に適合するか否かの実質的判断は、ICE8000国際信用紛争仲裁基準または国際信用紛争審理基準に従って行われる。最低線に反する行為への原則的鑑定意見には「疑い」と明記し、道徳良心に適合する行為には「原則」と明記する。いかなる鑑定意見も参考にすぎず、関係者の独立した思考と判断に代わるものではない。鑑定意見と勧善状は信用情報に属する。

1.9 WCOは、誠実の原則と道徳良心の最低線を守った上で、最低線に反する行為を懲戒し、道徳的行為に報い、全人類の道徳良心の最低線を守ることを支持し奨励する。WCO会員は道徳良心の最低線に反してはならない。

1.10 本基準にいう組織には、あらゆる団体、個人、地域が含まれる。上層人員には、法定代表者、実質的支配者、取締役会・監査役会の構成員および秘書、経営者、副経営者等が含まれる。ICE8000誠信執業機関とは、知識、能力、職業倫理の三面でICE8000基準の要件を満たしWCOの認証を受けた会員機関であり、WCOの会員であって支部、代表、代理ではない。

1.11–1.12 本基準を適用する各当事者は、誠実の原則、道徳の最低線、社会的責任の最低線を守らなければならない。各当事者は本基準の全条項を十分に承知し遵守を約束したものとみなされるが、いずれかの条項に不公正があると認めた当事者は、その状況と理由を公開かつ書面で表明した上で、当該条項に拘束されないことができる。

第2章 道徳良心の最低線

2.1 人類の道徳良心とは、人類の普遍的価値に対する主観的な追求と擁護である。時代や場所によって、道徳的なものが不道徳と誤認され、不道徳なものが道徳的と誤認されることがある。道徳的是非は、行為者の成否、法律、国家権力、慣習、人数の多寡によってではなく、行為者が人類の普遍的価値に反するか否かによって判断されるべきである。

2.2 法律と制度がどれほど整備されても、完全に限りなく近づくことはできても完全には至らず、常に欠陥が残る。人類の道徳良心がその欠陥を補い、人類の福祉を増進する。

2.3 人類の普遍的価値とは、時代、場所、民族、宗教、信条等を問わず普遍的に適用される価値原則をいう。例えば、基本的人権至上の原則、発展機会均等の原則、善に報い悪を懲らし功に報い過を罰する原則、誠実の原則、利益分配と紛争処理における公平・公正・公開の原則などである。

2.4 正当な権益とは、人、組織または地域が有する、人類の普遍的価値に適合する権益をいい、特定の時代・場所の法律や慣習がそれを支持するか否かを問わない。

2.5 権益者は、自らの正当な権益を自発的に放棄し、または明示もしくは黙示の契約により譲渡することができる。放棄も譲渡もされていない正当な権益を、他者はいかなる理由によっても窃取、強奪、侵食、または狙ってはならない。これに反することは他者の正当な権益への損害または潜在的損害であり、人々はこれを「悪」と呼ぶことができる。

2.6 道徳良心の最低線とは、端的に言えば「悪をなさない」こと

故意に他者を害さない。他者の正当な権益を故意に害し、または潜在的に害さない。客観的に害してしまったことを知ったときは、誠実に是正し、かつ/または謝罪する。

他者を犠牲にして権益を図らない。ある人や一部の人の正当な権益を害することを代償として、他の人、一部の人、または自分の権益を図ったり守ったりしない。(市長が警察官に暴力犯罪の制止を命じること、銀行が勤務中の制服着用を求めることは、職業選択によって権益の一部を契約的に譲渡しているため、権益の侵害にはあたらない。)

紛争においては無辜の人々を守る。戦争や民事紛争などの衝突において、各当事者は無辜の人々および第三者への損害または潜在的損害を最大限避け、客観的に生じた損害は賠償する。

上記に適合する行為は、道徳良心の最低線に適合する行為である。上記に従って行動することを決意し実際に始めた人、組織、地域は、道徳的な人、組織、地域とみなすことができる。

2.7 不道徳行為

  1. 他者の正当な権益を害する目的を持って行為すること。客観的に利益を得たか否かを問わない。
  2. 他者の正当な権益を害することを代償として、他の者や自分の権益を図りまたは守ること。目的を達したか否かを問わない。
  3. 悪意がなく善意であっても、方法の不適切さにより客観的に他者の正当な権益を害し、それを知りまたは知るべきであった後も是正や誠実な謝罪を拒むこと。
  4. 法律の欠陥、制度の欠陥、悪しき慣習を故意に利用して、他者の正当な権益を害すること。

2.8 最低線に反する思想や動機は不道徳な思想・動機である。是正されるまでの間、行為がないため責任は生じないが、関係者はその者との交際に慎重であるべきである。

2.9 個人の私生活の領域における行為、思想、動機、および被害者も潜在的被害者もいない行為、思想、動機は、道徳評価と鑑定の対象外である。

第3章 高尚な行為

3.1 最低線に反しない限り、人は時折、短期または長期にわたり、より高い道徳的追求と行動をすることができる。その追求と行動が人類の普遍的価値に適合するとき、高尚な行為と鑑定される。特に以下を含む。

  1. 最低線を守りつつ、他者を利することを前提に自らも利する結果を目指すこと。
  2. 最低線を守りつつ、自らの権益の損失を特に問わず、他者を利する結果を目指すこと。
  3. 最低線を守りつつ、自らの権益を顧みず、人類の普遍的価値を追求し実践すること。

3.2 高尚な行為をなした個人、組織、地域は、高尚な個人、組織、地域と鑑定される。

第4章 不道徳行為の責任帰属

4.1–4.2 組織または自然人が不道徳行為をした場合、それが違法であれば法的責任は法に従って負う。違法か否かを問わず、信用責任は組織、その上層人員、および過失のある職員、または本人および過失のある関係者が負う。職員は職務上の行為であることを理由に信用責任を否定できない。10歳未満の未成年者および民事行為能力のない者は信用責任を負わず、教唆された場合は教唆者が負う。10歳以上18歳未満の者は、年齢と知能に相応する行為について責任を負う。

4.3 ある地域で不道徳行為が発生したが行為者を特定できない場合は責任者を鑑定しない。特定できる場合は、行為者に直接責任を帰属させる。

4.4 組織における信用責任の帰属順序

  1. 組織自体が第一責任者。
  2. 意思決定機関の最高責任者(会長等)、法定代表者、実質的支配者が第二責任者。
  3. 執行機関の最高責任者(社長等)が第三責任者。
  4. 意思決定機関の構成員(取締役、理事等)と監督機関の構成員(監査役等)が第四責任者。
  5. その他の上層人員が第五責任者。
  6. 故意に関与した中間管理職または一般職員が第六責任者。
  7. 過失または強制により関与した中間管理職または一般職員が第七責任者。

複数の自然人が共同で不道徳行為をした場合、責任は最高指導者・組織者、最高立案者、重要な役割を果たした者、故意の参加者、過失または強制による参加者の順に帰属する(4.6)。複数の組織が共同で行った場合は、まず上記の順序で各組織の順位を定め、次に各組織内で帰属を定める(4.7)。

4.8 不道徳行為の責任者・組織・地域・個人という信用上の地位は一時的な警告的地位であり、不道徳行為を是正または修復した後、自動的に消滅する。

第5章 報奨の帰属

5.1 自然人が道徳良心の最低線に適合する行為(高尚な行為も同様)をした場合、信用上の報奨と現実の報奨は本人に帰属する。組織の場合、信用上の報奨は組織、その上層人員、および当該行為と因果関係のある職員に帰属し、現実の報奨の帰属は称賛者が決定し、決定がない場合は組織に帰属する。

5.3 自然人が最低線に適合する行為をした場合、本人が受賞者であり、鑑定後は道徳的個人と鑑定される。

5.4 組織における信用上の受賞者の順序は、第4章の責任帰属の順序に対応する。組織自体から、受動的に参加した中間管理職・一般職員まで順に並び、積極的に参加または推進した者は受動的参加者より先順位となる。鑑定後、これらの受賞者は反証や理由がない限り、道徳的組織・道徳的個人と鑑定される。

5.5–5.6 複数の自然人または組織が共同で行った場合、称賛者は各行為者を同時に被称賛者とすることも、最高指導者・組織者、最高立案者、重要な役割を果たした者、積極的参加者、受動的参加者の順に帰属を定めることもできる。

第6章 原則的鑑定手続

6.1 道徳良心の原則的鑑定手続は以下のとおり。

  1. 申請。当事者はICE8000誠信執業機関に申請し、本基準、誠実の原則、道徳の最低線、社会的責任の最低線の遵守を約束し、証拠資料を提出し、良心の誓約条項を付した声明を行う。
  2. 形式審査と送達。申請資料が整っていれば、被鑑定者に「原則的鑑定意見通知書」(最低線に適合する行為または不道徳行為)を送達し、7日間の異議期間を与える。整っていなければ理由を付して返却する。
  3. 異議。正当な事由なく期限内に異議を述べない被鑑定者は異議なしとみなされる。正当な事由があれば期間を延長できる。異議を述べるには、被鑑定者は対等の原則により本基準、誠実の原則、道徳の最低線の遵守を書面で約束し、良心の誓約条項を付した声明を行わなければならない。これを拒む異議は無効または効力が低い。
  4. 原則的鑑定結果の発行。有効な異議がなければ申請者に「原則的鑑定意見書」を発行し、そうでなければ「原則的鑑定手続終結通知書」を発行する。被鑑定者が誠実の原則に反して異議権を行使したと申請者が考える場合、違約責任を追及できる。

6.2 ICE8000誠信執業機関は執業の過程で、またICE8000基準に基づき信用評価情報を公表する者は、発見した行為について関係文書の中で原則的鑑定意見を述べることができるが、当事者に文書を送達し、異議期間と方法を告知しなければならない。

第7章 勧善手続

7.1 ある地域の人々が道徳の最低線を堅持し守ることは、その地域の文明の重要な基礎の一つであり、その文明の程度は、そこに住むすべての人と子孫の福祉に計り知れない影響を及ぼす。

7.2 人の性格は変えにくいが、人の道徳の最低線は築くことができ、人の道徳は高めることができる。

7.3 勧善とは、忠告、訓戒、善への勧め、懲戒など適切な方法によって、関係する組織に不道徳行為の是正を促すことをいう。勧善の過程で用いる文書は、名称を問わず「勧善状」と呼ぶことができる。

7.4 不道徳行為に対しては、誰もが勧善手続を開始して行為者に是正を求める権利を有する。ただし、勧善手続を用いて他者に高尚な行為を求めたり強制したりする権利はない。

7.5 不道徳行為に対しては、内部苦情や公開苦情等の基準によって勧善することも、以下の手続によることもできる。

  1. 申請。当事者はICE8000誠信執業機関に申請し、第6章と同様の約束と声明を行う。申請がなくても、執業機関は自ら勧善手続を開始できる。
  2. 送達。執業機関は勧善状を作成して送達し、7日間の異議期間を与える。勧善状には状況に応じて警告条項を加えることができる。
  3. 異議と是正。関係者が合理的な異議を述べ、不道徳行為を是正し、または不道徳行為をなす機会を放棄した場合、執業機関は勧善状を削除する。そうでなければ勧善状を保存し、特定の組織や個人の閲覧に供し、必要に応じて公開することができる。警告条項がある場合は、それに従って速やかに懲戒手続を開始する。

第8章 違約責任と追及方法

8.1 本基準に違反した当事者は、相応の法的責任、信用責任(内部苦情、公開苦情、信用警告、内部公表、公開公表、共同公表等の信用懲戒)、業界自律責任(公告批判、罰金、信用身分証の取消、業務禁止等)、および物質的・精神的損失に対する賠償責任を負う。悪意の背信にあたる場合は懲罰的賠償も負う。

8.2 追及方法:ICE8000の苦情、警告、公表の各基準による信用懲戒。国際信用紛争仲裁委員会への仲裁申立て(別途の書面仲裁合意は不要)。国際道徳裁判所への審理申立て。違約者がWCO会員である場合、会員監督基準による苦情。米国コロンビア特別区裁判所または米国連邦裁判所への提訴。

8.3 本基準への違反は独立した違約行為または背信行為とみなされる。本基準の適用過程における虚偽、隠蔽、名誉毀損、侮辱、他者の信用評価権の否定は、独立した(重大な)悪意の背信行為である。

8.4 違約責任は不告不理の原則による。被害者が自ら追及する場合にのみ違約者は責任を負い、被害者は追及手続を開始するか否かを決定でき、違約者を許しまたは合意に達することができる。

8.5–8.6 違約行為に参加、実行、協力した職員または代理人は、自らに過失がないことを証明しない限り責任を負う。WCOは自らの過失について経済的賠償責任を負い、翌年度の財務計画に計上し、高額の場合は年度ごとに分割して支払う。賠償後は、重大な過失または故意のある責任者に求償できる。

第9章 附則

9.1 送達・通知の方法には、ICE8000誠信書簡管理基準に基づく誠信書簡による送達、受領者本人、その職員、成人の家族または代理人の受領時をもって送達とする通常書簡による送達、書簡で送達できない場合の文書公告送達基準に基づくインターネット公告(初回公告から60日で送達とみなす)、その他合法かつ合理的な方法が含まれる。

9.2 本基準は公布の日から施行する。9.3 本基準で定義されていない用語は「ICE8000国際信用評価業用語集」による。9.5 条項が遵守されていないことを知り、または知るべきであったのに、速やかに書面で異議を述べなかった当事者は、異議権を放棄したものとみなされる。

9.6 本基準は改訂されるため、各当事者は最新版を適用すべきである。ただし改訂前の行為は改訂条項に拘束されないことができる。

9.7 本基準の著作権はWCOに属する。会員は無償かつ無制限に使用できる。非会員は出典を明記した上で、学習、研修、研究、自己使用、転載、引用、改編、参考のために無償で使用できる。いかなる組織や個人も剽窃または形を変えた剽窃をしてはならず、違反者は共同公表され、法的責任を追及される。

9.8 版番号は ICE8000-a-b-c-d の形式で表す。aはICE8000体系内での本基準の番号、bは最初の起草日、cは最新改訂日、dは改訂回数である。9.9 本基準の解釈はWCOが行う。

基準の正本(中国語): www.ice8000.org/acnhw/gc/111.html